レビュー

[展示&上映]銀座、次の100年のためのスタディ展「銀座建物ものがたり銀緑館」上映会&トーク

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銀座奥野ビル306号室プロジェクトのメンバー(石川信行氏、西松典宏氏)が制作した映像作品の上映会とトークがありました。銀緑館(銀座松坂屋と周辺の再開発により2013年に解体)についての映像で、建物の特徴や関係者へのインタビューに加えて、竣工年に諸説あるが本当はいつ建ったのか、建物のオーナーの自家設計と記録されているが本当なのか、という謎に迫る内容で、探偵小説を読んでいるような気分になりました。

(写真は会場、銀座レトロギャラリーMUSEE外観)

銀緑館は関東大震災後に建てられた5階建ての建物で、建物のオーナーは実業家で美術品収集家の松岡清次郎(のちに自身のコレクションで松岡美術館を創設)。地下にはBAR TARU、3階には小説家であり画商の洲之内徹の現代画廊が、5階にはテーラー銀座スコットが店を構えていたとのこと。映像ではTARUやスコットの店主のインタビューも収められていました。

映像から、今の時代に大正末期や昭和初期のことを調べることはかなり大変な作業だ、ということがよくわかりました。例えば、竣工年の特定には、図書館で地図を閲覧するところから始めるのですが、古地図が各年分揃っているわけでもないわけです(調べないと気づかないと思いますが)。じゃあどうするかというと、電話帳で銀緑館が掲載されているかを探す、など調査をすすめていくのでした。

そして、建物のオーナーが美術品収集家とはいえ5階建てのビルの設計を自分でできるだろうか?という疑問から、施工業者の濱田組にたどり、さらには濱田勝次という設計者を見つけ出すなど、建物の紹介にとどまらない内容でした。

上映会当日は、銀座スコットを経営していたご夫妻もいらしていて、ビルオーナーの松岡氏とのエピソードなどを聞くことができました。また、テーラーを閉めた後もしばらくは直し(ウエストを出すとか丈つめなど)を依頼されていたということで、単に売り買いだけの関係ではない交流があることがわかりました。このように映像制作時に出会った方々が数年ぶりにお会いする場に立ち会えたことが自分にとっても貴重な経験であったし、このような機会に関係者を招くことが大事であると気付かされました。

展示についても補足しておきます。
会場の銀座レトロギャラリーMUSEEは、銀座一丁目の昭和通りに面して建つ3階建てのレンガ調の小さな近代建築です。元は油屋だったという建物は2012年に川崎ブランドデザインが取得し、それ以来ギャラリーとして利用されるようになりました。今年は川崎ブランドデザイン100周年とのことで、今回の展示は、事業の一環で「次の100年のためのスタディー」というコンセプトで企画されています。
展示は、銀座の過去、現在、未来という構成になっていて、一番興味を持ったのは、銀座の過去を古い絵葉書から知る企画でした。37枚の絵葉書から今では想像できないような銀座の姿がわかり(例えば、奥野ビルが面している三原通りがかつては三十間堀川という川だった、など)、自分の認識に奥行きを与えてくれるような気がしました。

 

MUSEEexhibitions「銀座、次の100年のためのスタディ展」
川崎ブランドデザイン100周年事業

会期:2017年1月4日(水)〜2月19日(日)
時間:11時〜18時
月,火(1月10-11, 16-17, 23-24, 30-31, 2月6-7,13-14)は休廊。
会場:銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)1階ギャラリーA・2階ギャラリーB、Cほか
料金:入館無料
※土曜日18:30よりトークイベントあり(1/14 1/21 1/28 2/4 2/11 2/18)

(上記リンクから企画概要や終了したトークイベント概要をみることができます)